1℃を見逃さない勇気
革の製造は、タンナーと呼ばれる専門の皮革製造業者が行います。
タンナーは皮を仕入れ、それを鞣し(なめし)、革へと加工します。
革鞣し職人が加工を行うのですが、職人さんのお話を聞くと自身の革づくりのプライドがひしひしと感じられ、胸がジーンと熱くなります。
兵庫県たつの市のタンナーさんで製造をお願いしたビジネスバッグRintosh(リントッシュ)の革のお話です。
良い革を作るためには、良い原皮を使うことが大切なのは過去のブログでご紹介しました。(⇒過去のブログを見る)
Rintoshの革は北米の原皮を仕入れているのですが、良い状態の皮を腐らないよう塩漬けにし、この画像のように皮の表面を内側に折り込んで、輸送中にキズが付かないように考慮されています。
それを各製造工程(⇒詳しくはこちら)を踏んで皮から革へと鞣されるのですが、そこに存在するのがまるで料理職人のような、緻密に計算された革の製造レシピです。
過去の製造工程からデータを集め、長年革を作り続けてきた経験から、「この革を作るにはこの鞣し剤の配合、染料の調整」などが書かれたレシピです。
また、そのレシピ通りに製造するために欠かせないこだわりがあります。
それは水温です。
革の鞣しにはたくさんの水を必要とし、一般的に井戸水が使われます。
通常では深度30~50mの井戸水を使用しますが、それでは季節や気候によって水温が変化してしまいます。
「それではせっかくのレシピが活かせない。水温は1度たりとも変わってはならない!」
そこでこちらのタンナーでは、深度210mの深井戸から水を汲み上げ、一定の水温の元でデータ管理し、レシピ通りに革が仕上がるようにしているのです。
その結果Rintoshの革は、質の良い原皮の革らしさはそのままを活かし、繊細な色を出すことに成功し、安定した製品作りを可能にしています。
タンナーさんはおっしゃいました。
「革製品を販売する企業の中には、とにかく単価を下げるために ”安い革を仕入れたい” と言うところもあります。しかし、それではいくらいい企画の革製品でも残念な製品が出来上がってしまう。」
そのお言葉に改めて背筋が伸びる思いでした。
そんな思いを込めて作っていただいた革を、職人さんひとり一人の思いをasobozeは出来る限りお客様に伝えないといけない!
そう思うと同時に、本当にこの革でRintoshを作ってよかったと感じました。
お客様にこの思いを伝えるという私の挑戦は続きます。
カバンショップasoboze 大西