牛革の製造工程について
前回のブログで皮と革の違いを説明致しましたが、今回は皮から革へどのような製造工程を経ているのかをご紹介致します。
動物の皮(原皮)を鞄など製品のパーツとして使用できる革へと変化させることを鞣す(なめす)と言います。
古くは擦ったりもんだりして物質的に柔らかくする方法や、煙で燻したり「姫路白鞣し」と呼ばれる川の清流に長時間漬けたりといった方法もありましたが、現在ではコラーゲン繊維組織になめし剤と称する化学物質を施し、改質させています。
皮は塩漬けされた状態で皮革工場に納品されます。
皮革製造工程
01、水漬け
塩漬けされた皮に付着している血液や汚物などを取り除き、脱水された水分を補い生皮の状態に戻し、後の薬品処理をスムーズに行うために重要な工程です。
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02、裏打ち
裏打機(フレッシングマシン)を用いて、皮の肉面(裏面)に付着している肉片や脂肪を取り除きます。
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03、脱毛・石灰漬け
石灰乳(消石灰と水)に浸漬させ、アルカリにより皮を膨潤させ皮のコラーゲン繊維をほぐすとともに、毛・脂肪・表皮層を分解除去します。皮革独特の柔軟性を得るのに役立ちます。
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04、分割
分割機を用いて皮を所定の厚さに銀面側(表面)と肉面側(床皮)の二層に分割します。床皮は床革のほか食用、工業用、医療用コラーゲン製品として多方面に利用されます。
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05、垢出し
脱毛、石灰漬けの段階で除去しきれなかった毛根などを取り除き、銀面をきれいにします。垢出し機または銓刃(せんとう)を用いて圧出除去します。
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06、再石灰付け
石灰乳に再浸漬し、アルカリにより皮のコラーゲン繊維のからみをほぐします。
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07、脱灰・酵解
脱毛・石灰漬け、再石灰漬けで皮中に残存した石灰を取り除きます。これにより鞣し剤の浸透を容易にします。酵解とは、タンパク分解酵素により不要なタンパク質を分解除去、銀面を滑らかにします。
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08、浸酸
鞣し剤を皮中に均一に分布させるための前処理として、鞣し工程に先立って皮を酸性溶液中に浸漬して、鞣し剤の吸収に適する状態にします。
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09、クロム鞣し
クロム鞣し剤を皮に浸透させコラーゲン繊維と結合させ、耐熱性などの耐久性を与えます。
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10、水絞り
革中の余分な水分を水絞り機により絞り出します。
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11、シェービング(裏削)
シェービングマシンで革の肉面を削り、一定の厚さに調整します。
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12、再鞣
各種用途(靴や衣料、鞄など)にもっとも適した性質の革をつくるためにはクロム鞣しのみでは不十分なため、合成鞣し剤や天然の植物タンニン剤を使って用途に応じた特性を与えます。
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13、中和
革中の酸をアルカリにより中和し、染料や加脂剤の浸透が均一になるように調整します。
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14、染色・加脂
染料を用いて革を希望の色に染めます。加脂は精製された生油や合成油脂を用いて、革に柔軟性や豊満性などの感触の特性を付与します。
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15、水絞り・伸ばし
機械(サミング・セッティングマシン)により、革中の余分な水分を絞り取り、革を伸ばします。
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16、乾燥
仕上げ工程に先立ち乾燥します。自然乾燥あるいは熱風で乾燥します。革の感触にとって直接的に影響する工程です。
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17、味入れ(味付け、味取り)
革に適当な水分を与え、もみほぐしやすくします。
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18、ステーキング(ヘラ掛け)
ステーキングマシンにより革をもみほぐし、柔軟性や弾力性を与えます。
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19、張り乾燥
張板に釘張りするか、網板上にトグル張りし、平らな状態に乾燥します。
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20、縁断ち
製品に仕上げるのに不必要な縁まわり、その他を縁断ちします。
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21、銀むき
ヌバック(革の銀面を起毛させたもの)などにする場合、バフィングマシンを用いてサンドペーパー掛けを行います。銀むきされた革はブラッシングマシンにより除塵されます。
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22、塗装
外観の美しさを色と艶で強調するとともに、革の耐久性を得るように塗装などで銀面を塗布します。
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23、艶出・アイロン・型押
機械により表面を艶出し、またはアイロンをかけます。必要により型押または、もみ作業を行います。
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24、計量(秤入れ)
計量機にかけて革面積を測ります。これで革が完成です。
カバンショップasoboze 大西